相続の手引き⑦ー相続欠格
家族関係においてあるべき適正な秩序を支持するとの公益的理由から、相続制度の基盤を破壊するような行為をした者については、法律上当然に相続資格がはく奪されます。これを相続欠格といいます。
民法上、相続欠格事由として、次の5つが定められています(民法891条各号)
① 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
② 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者
③ 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
④ 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
⑤ 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
(なお、遺言書の破棄、隠匿が相続に関して不当な利益を目的とするものでなければ、⑤の欠格者に当たりません。)
相続欠格事由に該当する者は、当然に相続権を失い、遺贈がある場合も受遺者となれません(民法891条、965条)。一方で、相続欠格は欠格者自身への制裁ですので、代襲相続は認められており、相続欠格者に子がいる場合にはその者が代襲相続人となります(民法887条2項)。