少数株主対策② 議決権の再集中を図る方法Ⅰ-任意の買取り交渉
議決権の分散後に一人の株主に株式の再集中を図る一番簡便な方法は、売買などによって他の株主の保有する株式を任意に取得する方法です。
もっとも、他の株主の承諾が必要であるため、少数株主が株式を手放すことについて消極的である場合や、株式を手放すこと自体は承諾しているものの、株式の評価額の点で折り合いがつかない場合には、用いることができない手法です。
なお、売買の対象が譲渡制限株式である場合には、株主総会、取締役会等の一定の機関の株式譲渡承認手続が必要となるなど、手続規制が設けられていますので注意が必要です。
また、少数株主の保有する株式を会社自体が買い取る自己株式取得の場合には、株主間における売買とは異なり、会社法上、株主総会特別決議が要求され、財源規制が適用され、更にはみなし配当等の税務上の問題が生じる可能性もあり、より一層の注意が必要です。
任意の買取り交渉を行うにあたっては、交渉が決裂した場合の見通し・リスクを判断でき、かつ交渉力のある弁護士に依頼することを強くお勧めします。