「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」会社法を遵守した株主総会20-過去の株主総会の瑕疵の治癒①-

1 過去の瑕疵を治癒するための全員出席総会

株主総会の瑕疵は決議の取消事由(会社法831条1項)となりますし、株主総会が事実として不存在である場合や瑕疵が著しく、法的に不存在の場合には、決議不存在事由(会社法830条1項)となります。

このような法的不備(瑕疵)を治癒する方法の一つが、株主全員が出席した全員出席総会です。例えば、当該株主総会に招集手続等の法令違反があったとしても、株主全員がその開催に同意して出席した全員出席総会でなされた決議は有効に成立します。

また、過去の役員選任決議が不存在の場合、その後の株主総会を招集した代表取締役は正当な権限がなく、その後の決議が連鎖的に不存在となる場合があります。この場合にも、後の決議が上記の全員出席総会によりなされた場合には、決議の瑕疵が治癒されます。

このように、過去の株主総会が不存在である場合には、適法な招集手続のもと、全員出席総会で決議を行うことが、瑕疵を治癒する選択肢の一つとなります。

ただし、全員出席とは委任状による出席株主がいてもよいものの、一部株主が出席もせず委任状も作成しないような場合には、全員出席総会を成立させることはできません。そのため,この方法により瑕疵を治癒することは困難になります。

<続く>

「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」会社法を遵守した株主総会21-過去の株主総会の瑕疵の治癒②-

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