「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」株券6-株券発行会社と株券不発行会社の異同④
3 株券提出手続
株券発行会社においては、株券が無効となる手続を行うときには、株券提出手続が必要とされています(会社法219条)。
すなわち、会社法219条1項各号に掲げる手続(①全部の株式につき譲渡制限とする旨の定款変更、②株式の併合、③全部取得条項付種類株式の取得、④取得条項付株式の取得、④の2特別支配株主による株式等売渡請求の承認、⑤組織変更、⑥消滅会社における合併)を行う場合は、当該行為の効力発生日の一箇月前までに、無効となる株券を保有する株主等は当該効力発生日までに株券を提出しなければならない旨を公告し、かつ当該株主等に対して各別に通知しなければなりません。ただし、無効となる全ての株式につき株券を発行していない場合には、株券提出手続は不要とされています(会社法219条1項但書)。
なお、株券提出手続は、株主の権利を確定する上で重要な手続であるため、当該手続の瑕疵は、各種行為の差止事由ないし無効事由になり得ると解されているので注意が必要です。
これに対し、株券不発行会社においては、株券を発行することはないので、当然に株券提出手続は不要です。
また、株券発行会社の株主が、取得請求権付株式につき取得を請求するときや、実際に発行されている株式について株式買取請求権を行使するときには、当該株主は、株主ではなくなるため、当該株式に係る株券を会社に提出しなければなりません(会社法166条3項、会社法116条6項、会社法182条の4第5項、会社法469条6項、会社法785条6項、会社法797条6項、会社法806条6項)。
<続く>