「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」株券7-株券発行会社における留意事項①
1 株券発行義務の遵守
(1)規律
株券発行会社は、原則として、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければなりません(会社法215条1項)。 ただし、非公開会社である株券発行会社においては、通常、株式の譲渡等が頻繁に行われず、かつ各種株主権の行使にあたって株券は不要ですので、各株主から会社に対して株券発行請求がなされない限りは、株券を発行する必要はないとされています(会社法215条4項)。
また、株主は会社に対し、株券の所持を希望しない旨を申し出ることもでき、かかる場合には、会社は株券を発行することができません(株券不所持申出制度)(会社法217条)。もっとも、株券不所持を申し出た株主は、いつでも、会社に対し、株券発行請求を行うことができます(会社法217条6項)。
なお、仮に会社と株主との間で株券不発行の合意がなされていたとしても、かかる合意は株式譲渡自由の原則(会社法127条)に抵触する無効なものと解されていますので、何れにせよ株券発行会社の株主は、会社に対して、いつでも自己の保有する株式に係る株券の発行を求めることができます。
<続く>