「会社内部紛争を防止するための非上場会社の株主管理・株主対策」株主名簿4-株主名簿の概要④
4 株主名簿の記載事項
株主名簿には、①株主の氏名又は名称及び住所、②保有株式数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)、③株式取得日、④株券発行会社においては、株券番号を記載する必要があります(会社法121条)。
また、⑤株式に質権が設定されている場合には、質権者の氏名又は名称及び住所並びに質権の目的である株式を記載し(会社法148条)、⑥株券不発行会社である場合で、かつ株式が信託財産に属する場合には、株主の保有する株式が信託財産に属する旨の記載をする必要があります(会社法154条の2)。
更に、⑦株券発行会社において、株主から会社に対して株券不所持の申出(会社法217条1項)がなされた場合には、当該株にかかる株券を発行しない旨を記載する必要もあります(会社法217条3項)。
なお、株主名簿は、現在の株主情報を明らかにする目的で作成される帳簿であるため、過去の株主情報の記載は必須ではありません。
しかし、株主名簿は、M&A等、株式が移転する場面において、株式譲受人・譲渡人が真の株主であるか否か(名義株ではないか)、その取得原因に瑕疵がないか等を確認するために利用される最も基本的な資料ですので、会社としては、過去の株主の情報、株式の取得原因等の付加的情報を株主名簿に併せて記載し、保存しておくことが望ましいでしょう。
なお、株主名簿に必要な記載を怠ったり、虚偽の記載をした場合は、取締役等は過料の制裁を受ける可能性があります(会社法976条7号)。