相続の手引き⑪-代襲相続Ⅲ

【事例】

甲には実子A、養子Bがいる。Bには甲との養子縁組前に出生した子Cと縁組後に出生した子Dがいる。

Bは甲が亡くなる以前に死亡した。

甲の相続人は誰か。

上記の事例では、CとDが代襲相続人になるかが問題となります。

養子は、養子縁組の日から、養親の嫡出子の地位を取得します(民法809条)。そのため、相続の場面では、実子と養子とで基本的に違いはありません。

ただし、養子について代襲相続が発生する場合、養子縁組の時期と養子の子の出生時期の先後関係が重要となります。

 

養子は養子縁組の日から養親の嫡出子の地位を取得しますので、養子縁組以後に出生した養子の子と養親との間には当然親族関係が生じます(養親の直系卑属に当たります)。

一方、養子縁組以前に出生した子に関しては、判例上養親との間に親族関係を生じません(大判昭和7年5月11日民集11巻1062頁)。

そうすると、子の代襲相続の要件のうち、代襲者が被相続人の直系卑属であることという要件について、養子縁組以後の養子の子は充足しますが、養子縁組以前の養子の子は充足しません。

よって、養子に代襲原因がある場合、養子縁組以後の子は代襲相続人になりますが、養子縁組以前の子は代襲相続人になりません。

 

本事例では、養子Bの子のうち養子縁組以後の子はDですので、代襲相続人はDのみであり、甲の相続人はA、Dとなります。そして、法定相続分はAとDで2分の1ずつとなります。

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