相続の手引き㉘ 特別寄与料の制度⑵
3 特別寄与料の請求
⑴ 特別寄与料の請求の相手方と負担割合
特別寄与料の請求をできるのは、被相続人の相続人です(民法1050条1項)。
特別寄与者が、その選択に従い、相続人のうちの1人または複数人に対して特別寄与料の額に当該相続人の相続分(指定相続分がある場合には、指定相続分。指定相続分がない場合には法定相続分。)を乗じた金額を請求することができます。
例えば、被相続人には相続人として子(長男、次男)がおり、被相続人は相続分を指定せずに死亡したケースにおいて、10年間認知症の被相続人の療養看護をした長男の妻は、長男を除く次男に対して特別寄与料を請求するとした場合、長男の妻は次男に対して特別寄与料の額の半分を請求できます。
⑵特別寄与料を定める手続き
第一次的には、当事者の協議によります。
そして、当事者間で協議が調わなかったときには、特別寄与料の請求権者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求する(調停又は審判を申し立てる)ことになります(民法1050条2項)。
⑶ 権利行使期間
特別寄与料にかかる協議に代わる処分の請求は特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6カ月以内又は相続開始の時から1年以内にしなければなりません(民法1050条2項但書)。